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最高裁判所第一小法廷 昭和24年(れ)502号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

辯護人和島岩吉上告趣意について。

一、所論は、「原判決は、被告人に對し八個の賍物故買罪の成立を認定し居るを以て、之を併合加重するには此の内最も犯罪重き賍物故買罪を一個定めたる上之に併合加重すべきであるに拘らず、之を定めず爲したるは刑法第一〇條の解釋を誤り其の適用を誤っているものである」と主張している。しかしながら、所論のように數個の同一犯罪を併合罪として刑を加重し處斷刑を定める場合において、裁判所が各犯罪の犯情に輕重がないと認めるときは、いずれの犯罪の犯情が重いかを特に判決に明示するを要しないものと解すべきである。なぜならば、かく解することは何等の実害を伴うものでなく、却って実際上迅速處理の便益を與えるものだからである。さればこの點に關する論旨は理由がない。(その他の判決理由は省略する。)

よって舊刑訴第四四六條に從い主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 真野 毅 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 齋藤悠輔 裁判官 岩松三郎)

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